名古屋、覚王山に現存する指定有形文化財「揚輝荘」。
名古屋の老舗デパート松坂屋の創始者、伊藤次郎左衛門祐民が大正時代から昭和初期に作らせた別荘です。
交友の広かった祐民が大切な人をお迎えする為の、迎賓館や社交場として使っていたそうです。
中でも、現存する5棟のうちの代表的建築物「聴松閣」がとても素晴らしいんです。
今回は、「聴松閣」の2階を中心にご紹介します。
ただの階段じゃない!お客様の為だけの階段
広々とした1階でお客様を出迎えた後は、2階へご案内。
でもこの階段。ただの階段じゃないですよ。
手すりをよく見てください。
透かし彫りが施されています。当時の大工さんのまさに匠の技をこんなところで見つけました!
手触りもいいんですよ〜♪
お客様も喜んだでしょうねー。
さらに二つ目のポイントは横幅の広い階段。
当時の階段にしては、横幅が広めでしょ。
これは、会話をしながら2階に上がることを想定した時
お客様と横並びになって上がれるよう広めに設計をしたというのです。
実際に上がってみましたが、大人二人が余裕で横並びできます。
ちなみに、こちらはお手伝いさん用の階段。
この階段を絶え間なく上り下りしながら、お客様を裏からおもてなししていたんでしょうね。
階段でさえも「お客様ファースト」
祐民さんのおもてなし力 ハンパないです!
異国情緒溢れる2階の部屋
こちらは旧書斎。
実に上手に採光された明るい作りの部屋です。
床は当時まだ珍しい「プラスチックタイル」を用いて市松模様に。
さらに、天井は少し不思議な形をしていますね。
これは「船底天井」。見上げると船の底のように見えることからその名がつきました。
天井に勾配をつけることで、部屋を広く見せる効果があるそうです。
こちらは隣の応接室。
暖炉のあるイギリスの山荘をモチーフに作られた部屋だそうです。
さらには…
丸窓とソファーが窓際に。
一等船室のキャビンのような作りですね。
これは、祐民さんがインド旅行やヨーロッパ旅行した時の楽しい思い出を表した場所なんでしょうか。
さらに隣の寝室に行くと、
中国様式の装飾された部屋に変貌します。天井の鳳凰や照明の作りなど。
まさに中国にインスパイアされて作ったお部屋ですよね。
基本情報
- 〒464-0057 名古屋市千種区法王町2-5-17
- TEL 052-759-4450
- 開館時間 9時30分~16時30分
- 休園日 月曜日(祝日の場合はその直後の平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
- 一般・高校・大学生 300円
- 市内在住の高齢者(65歳以上) 100円
- 中学生以下 無料
※障害者手帳等・特定医療費受給者証等をお持ちの方は無料です。
そのほかにも入館料の減免があります。詳しくは、公式HPか電話にてお問い合わせください。
※情報は掲載時のものです。最新の情報は公式HPや電話にてご確認ください。
まとめ
階段はもとより、2階の部屋も祐民さんの「おもてなし」の心がいっぱい詰まっていました。
日本にいることを忘れてしまいそうなほど、異国情緒溢れる部屋に、当時の人々はさぞ驚いたんじゃないでしょうか。
さてさて…次回はいよいよ「聴松閣」の中でも、最も不思議なエリア。地下室をご案内します!
謎の地下トンネルも、ご紹介します!
コメント